乙部町農業再生プラン(野菜プロジェクト)
乙部町が取り組んだ契約野菜の変遷について紹介します。
はじめに
最近の消費者は、輸入農畜産物に対して何らかの不安を持っており、安全で安心できる野菜を求めています。
乙部町では、冷涼な気候と土地資源を有効活用して安全で良質な野菜を生産し、消費者に提供できる仕組みづくりを具体化しました。
町は、国内大手の農産物の専門仲卸売り商社(株式会社ベジテック)と出会い、連携を図りながら元気な農業を目指した農業再生プランを作成しました。
乙部町では、冷涼な気候と土地資源を有効活用して安全で良質な野菜を生産し、消費者に提供できる仕組みづくりを具体化しました。
町は、国内大手の農産物の専門仲卸売り商社(株式会社ベジテック)と出会い、連携を図りながら元気な農業を目指した農業再生プランを作成しました。
ブロッコリー栽培に取り組むまでの経過
畑作の現状
乙部町の農業の現状は、高齢化や離農が進み、担い手不足になっています。
このため、耕作放棄地が増加し、規模の小さな兼業農家が大半を占めています。
比較的大きな畑作農家は、大根やにんじんを栽培していましたが、安定した収入の確保ができず、経営は、非常に厳しいものとなっていました。
また、馬鈴薯と大小豆の作付け割合が非常に高く、作物に応じた適正作付け割合になっていました。
これらの状況を打開するために、収益性が高く、適正な輪作体系の確立ができ、価格が安定した契約栽培での土地利用型野菜を導入し、地域農業の発展・地域の活性化を目指しました。
このため、耕作放棄地が増加し、規模の小さな兼業農家が大半を占めています。
比較的大きな畑作農家は、大根やにんじんを栽培していましたが、安定した収入の確保ができず、経営は、非常に厳しいものとなっていました。
また、馬鈴薯と大小豆の作付け割合が非常に高く、作物に応じた適正作付け割合になっていました。
これらの状況を打開するために、収益性が高く、適正な輪作体系の確立ができ、価格が安定した契約栽培での土地利用型野菜を導入し、地域農業の発展・地域の活性化を目指しました。
ブロッコリーに夢を託して
株式会社ベジテックからの提案により契約栽培野菜にブロッコリーを採用しました。
- 夏場の最高気温が低い気候に適している。
- 消費者の、食の安全・安心から国産への需要が高まっている。
- 契約先は、国産のブロッコリーに対して高い魅力を感じている。
- 軽量で高齢者・女性でも収穫作業が楽である。
- 契約栽培のため安定した収入の確保ができる。
生産者自らが栽培から出荷・選別そして出荷
株式会社ベジテックからの助言により、乙部町の全面的な支援で生産組合を組織し、契約野菜を組合が集荷・選別・販売を行うことにしました。
生産者組織名 | 乙部町契約野菜生産出荷組合 |
組合員数 | 12戸(現在4戸) |
設立月日 | 平成17年2月8日 |
代表者名 | 永渕 稔雄 |
いざ始めるとなると施設整備と資金が必要に
選別・出荷するには、施設を確保しなければなりません。また、ブロッコリーは、フレークアイスを発泡箱に詰めて出荷しなければなりません。
しかし、組合には資金がありません。更に、生産者自らが栽培から出荷までを行うための運転資金の確保に苦労しました。
農協の施設を無償で借り受け、道と町の補助金と町資金を活用し、施設の修繕工事や整備を実施することができました。
しかし、組合には資金がありません。更に、生産者自らが栽培から出荷までを行うための運転資金の確保に苦労しました。
農協の施設を無償で借り受け、道と町の補助金と町資金を活用し、施設の修繕工事や整備を実施することができました。
- 整備年度 平成17年度
- 整備内容
半自動移植機(1条植え)
|
2台 |
冷凍コンテナ(12FT) | 2基 |
製氷機(フレークアイスメーカー)(製氷能力1t・2t) | 2基 |
フォークリフト(1.5t) | 1台 |
集荷選別施設整備(電気設備、給水設備) | 1式 |
- 事業費 12,381千円(道6,150千円 町補助金1,230千円)
- 資 金 整備資金 5,000千円(町資金)
- 整備年度 平成19年度
- 整備内容
半自動移植機(1条植え) | 2台 |
製氷機(フレークアイスメーカー)(製氷能力2t)
|
1基 |
バッテリーフォークリフト(1.5t) | 1台 |
集荷選別施設整備(電気設備、施設修繕) | 1式 |
- 事業費 10,730千円(道5,300千円 町補助金1,130千円)
- 資 金 整備資金 4,300千円(町資金)
取り組みの内容
生産者組織を乙部町がバックアップ
初めてブロッコリーの栽培を行うのに生産者も町職員もまるで素人。栽培に関しては、農業改良普及センターだけが頼りでした。
また、株式会社ベジテックから窓口を町が担当し、野菜の産地づくりが地域の活性化に繋がるという考え方を示され、乙部町は今までにやったことのない業務を手探りの状況で一つ一つこなしていくしかありませんでした。
また、株式会社ベジテックから窓口を町が担当し、野菜の産地づくりが地域の活性化に繋がるという考え方を示され、乙部町は今までにやったことのない業務を手探りの状況で一つ一つこなしていくしかありませんでした。
- 組合員の資金繰りも厳しいことから、資材、肥料、種子は、見積もり合わせによる共同購入を実施し、支払いについては、販売売上金の入金後の9月末としています。
- 毎年度株式会社ベジテックと面積や出荷予定数量等を協議の上、栽培計画を策定します。
- 選別作業のパート職員を雇用し、組合専任職員が常駐し、選別・箱詰め・出荷作業を実施します。
集荷・選別・出荷から販売までの流れ
- ブロッコリーは、午前6時頃から集荷場に集まってきます(集荷)
- 選別を行い、発泡箱に詰めます(選別・箱詰め)
- 鮮度を保つため予冷庫に入れて冷やします(予冷)
- 翌朝、予冷庫から搬出し、氷を詰めます(氷詰め)
- 午前中にコンテナで出荷します(出荷)
- 翌日の9時頃に株式会社ベジテックに到着。すぐにスーパーマーケットに配達され、その日に販売されます(販売)
作付け面積・販売実績
町が中心となり農業者・株式会社ベジテック・普及センター・農協等の関係機関が一丸となって取り組んだ結果、平成26年度の販売額は1億3百万円となっています。
品質も良好で、契約先から高い評価を得ました。データなし | 平成17年度 | 平成18年度 | 平成19年度 | 平成20年度 | 平成21年度 |
面積(ha) | 12.6 | 22.5 | 23.9 | 26.3 | 27.5 |
販売額(千円) | 37,511 | 72,772 | 78,570 | 85,581 | 92,492 |
データなし | 平成22年度 | 平成23年度 | 平成24年度 | 平成25年度 | 平成26年度 |
面積(ha) | 28.9 | 26.1 | 24.8 | 25.6 | 24.3 |
販売額(千円) | 59,359 | 68,678 | 86,798 | 74,971 | 103,007 |
データなし | 平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 | 平成31年度 |
面積(ha) | 23.2 | 22.1 | 18.0 | 16.9 | 16.8 |
販売額(千円) | 84,468 | 86,330 | 89,503 | 58,192 | 73,345 |
データなし | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 | 令和6年度 |
面積(ha) | 16.8 | 15.3 | 15.3 | 15.3 | 15.3 |
販売額(千円) | 58,526 | 70,905 | 44,381 | 57,343 | 37,019 |
※令和6年度は9月末現在の実績です。