乙部町農業再生プラン（大豆プロジェクト）

 　国産大豆は、豆腐、納豆、みそ、煮豆等の加工食品の原料として優れた適性を持っていますが、大豆の産地では、実需者（加工する企業）の求める需要に応えるような、均一な品質（粒の大きさ、たんぱく保有量）の大豆を安定供給できる体制ができていないのが現状です。
　これは、一般的に品種ごとの栽培適地が狭く、地域ごとに多様な品種が栽培されているうえ、同一品種でも栽培条件の違いなどにより品質の差が大きいこと等によるものです。
　乙部町では、良品質志向の消費者や加工適性の向上を求める実需者の要望に応え、魅力ある品質の大豆を契約栽培により相当量を安定的に生産する体制に取り組むことにしました。

　乙部町の大豆は、黒大豆や鶴の子銘柄大豆を昔から栽培しており、道内では、食味の良い大豆の生産地となっています。
　平成17年度から乙部町では、農業再生プランによるブロッコリー、かぼちゃの契約栽培を実施していますが、畑作農家にとって大豆は契約野菜との輪作作物として欠かすことのできない作物です。

　今は、ほとんど栽培されなくなった在来種の中にも見過ごされている魅力的な大豆がありました。そのような大豆の中から乙部町に適した大豆の栽培を始めることにしました。

　「黒千石」は、もともと北海道の在来種で、古くは緑肥作物として栽培されていましたが、時の経過とともに栽培されなくなった品種です。
　納豆の原料として極小粒の黒豆を探していた納豆製造企業から要請を受けたネピュレ株式会社は「黒千石」を発掘し、北海道と岩手県で栽培を行うことにしました。
　「黒千石」の評価は高く、納豆の需要は確実に増えており、その他に、新たな商品としての開発が期待できる魅力ある大豆として評価され始めました。その需要に応えるため、北海道の広い範囲においては、黒千石への想いを一つにした産地づくりが始まりました。

　「大莢白乙女」は、青森県にあった絶滅しかけている大粒で味の良い白大豆です。納豆や豆腐として限定販売されています。

　「乙部大黒」は、従来の黒大豆の中でも糖度が高く、特に品質や収量性の高い品種・系統を選抜した大豆です。一般の黒豆を加工したものよりも高い評価を得ることができれば、魅力ある大豆になります。

　「越前みどり」は、濃い緑色の豆で、非常に甘みの強いのが特徴です。緑色の豆腐やきなこは普通の大豆とは一味違った青大豆特有の個性を楽しむことができます。

　北海道の中でも、積算温度の高い気候条件や病害虫の発生程度の低い乙部町は、良質な黒千石の栽培に適していることから契約栽培を平成17年度から始めました。

 　大莢白乙女（大粒白大豆）・乙部大黒（大粒黒大豆）・越前みどり（大粒青大豆）については、栽培面積が少ないことから、作付け拡大に向けて町内の農家へ栽培を奨励しています。
　栽培適地は、温暖な気候の道南に限られることから、増殖後は、道南での栽培地の確保を図り、実需者への安定的な供給体制を契約栽培により実施することとしています。

　乙部町の大豆づくりを円滑に進めるために生産組織を設立しました。
　乙部町の農家を中心とした組織は、広域的な取り組みを目指し、上ノ国町の農家を巻き込んで活動が進められています。

生産者組織名	ひやま南部大豆生産組合
組合員数	15戸（現在5戸） （乙部町12戸、上ノ国町3戸）
設立月日	平成18年2月24日
代表者名	乙部町字富岡 永渕　稔雄